保定装置(リテーナー)とは
矯正治療が終わったあとの歯は、まだ「動きやすい状態」にあります。放っておくと、歯ぐきや周りの組織が元の位置に戻ろうとする力が働き、せっかくきれいに並んだ歯並びが崩れてしまうことがあります。
この“後戻り”を防ぐために使うのが リテーナー(保定装置) です。
取り外しができるタイプが一般的で、治療後の歯並びをしっかり安定させるために欠かせない役割を持っています。
リテーナーを使う期間は「保定期間」と呼ばれ、矯正治療の仕上がりを守る大切なステップです。きれいな歯並びを長く保つためには、この保定期間をきちんと守ることがとても重要です。
後戻りはなぜ起こるのか
矯正治療で歯を動かしても、歯には「元の位置に戻ろうとする力」が残っています。
これを「後戻り」と呼び、治療が終わったばかりの歯ほど起こりやすい現象です。
矯正装置が歯に力をかけると、歯を支える歯槽骨が溶け始めます。そうしてできた隙間に新しい骨ができるのを繰り返すことで歯が動いていきます。そのため、矯正治療が終わった後もしばらくは骨が十分に詰まっておらず、不安定な状態となります。
さらに、歯と歯茎を繋ぐ線維は変化しづらく、元の歯並びを記憶しています。そのため、矯正治療後に元の歯並びに戻ろうとする力が働いて後戻りが起きる場合があります。
後戻りを防ぐには、リテーナー(保定装置)を装着し、正しい歯並びの情報を歯茎に記憶させる必要があります。
リテーナーの装着時間と保定期間について
一日の装着時間の目安
取り外しタイプのリテーナーは、食事中や歯磨きのとき以外は装着することが基本です。矯正治療直後の歯はまだ動きやすく、骨や歯周組織が安定していないため、装着を怠ると後戻りが起こり、リテーナーが合わなくなることがあります。歯の位置が安定してくると、夜間のみの装着に切り替えたり、少しずつ使用時間を短くすることも可能です。
固定タイプは、歯の裏側に接着するリテーナーで、取り外し不要で常に歯を安定させられるのが特徴です。日常生活の中で装着忘れがなく、後戻りのリスクを大幅に減らすことができます。ただし、清掃や歯磨きの際には丁寧にケアする必要があります。
保定期間
リテーナーは、矯正治療後の歯を安定させるために、できるだけ長く使用することが望ましいです。一般的には治療期間と同じくらいの1~3年が目安と言われていますが、できるだけ長期にわたって装着することで、後戻りのリスクを最小限に抑え、きれいな歯並びをしっかり保つことができます。口や顎の動き、加齢、生活習慣などによって歯は少しずつ動くため、指示通りの装着が重要です。
後戻りしたときの対処法
早めに歯科医院にご相談を
矯正治療後に歯が少しでも元の位置に戻り始めた場合は、できるだけ早く歯科医院へご相談ください。
後戻りの程度が軽い場合は、リテーナーの装着時間を増やしたり、装置の調整を行うだけで再び安定させることが可能です。
もし後戻りが進んでしまうと、再矯正が必要になるケースもあるため、時間を先延ばしにせず早期対応することが重要です。
また、保定期間中であれば、リテーナーの装着習慣を見直すことも有効です。装着不足が原因で後戻りが進んでいる場合は、装着時間の延長や取り付け位置の調整を行うことで、再び歯並びを安定させることができます。
また、他院で矯正治療を行ったものの、後戻りしてしまった方もお気軽にご相談ください。当院ではこれまでの治療経過を確認しながら、最適なリカバリー計画をご提案いたします。
後戻りの早期発見と適切な対応が、せっかく整えた歯並びを長く維持するための鍵となります。



